「空気」と「世間」
- 作者: 鴻上尚史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: 新書
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「共同体の匂い」を感じるだけでも、人は元気になります。バラバラだと思える私たちが、じつは同じ集団に属していて、同じ感覚を大切にしている、と感じるだけでも生きる勇気がわくのです。
お笑い番組が隆盛なのは、「笑って嫌なことを忘れたい」という理由が一番でしょうが、同時に、「他人と同じものを笑うことができる」ちおう「共同体の匂い」に惹かれているからだと思います。
私は孤独じゃない。私たちはバラバラじゃない。なぜなら、同じものを見て、一緒に笑える人たちがいる。同じものを見て、腹から笑える人たちの中に私がいる。それは「共同体の匂い」です。そして、「共同体の匂い」を呼吸することは、人を安心させるのです。
逆に言えば、不安な人ほど、「共同体の匂い」を求めるということです。
自分の発言が場の「空気」を乱していないか、自分は「空気」からはみ出ていないか、今、どんな「空気」が場を支配しているのか。
不安になればなるほど、敏感になり、場の「空気」を探り、従おうと思うようになるのです。
ああ、私のことが書いてある…と思わされた部分。
痛くて面白くてためになった一冊。