「空気」と「世間」

「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

「共同体の匂い」を感じるだけでも、人は元気になります。バラバラだと思える私たちが、じつは同じ集団に属していて、同じ感覚を大切にしている、と感じるだけでも生きる勇気がわくのです。
 お笑い番組が隆盛なのは、「笑って嫌なことを忘れたい」という理由が一番でしょうが、同時に、「他人と同じものを笑うことができる」ちおう「共同体の匂い」に惹かれているからだと思います。
 私は孤独じゃない。私たちはバラバラじゃない。なぜなら、同じものを見て、一緒に笑える人たちがいる。同じものを見て、腹から笑える人たちの中に私がいる。それは「共同体の匂い」です。そして、「共同体の匂い」を呼吸することは、人を安心させるのです。
 逆に言えば、不安な人ほど、「共同体の匂い」を求めるということです。
 自分の発言が場の「空気」を乱していないか、自分は「空気」からはみ出ていないか、今、どんな「空気」が場を支配しているのか。
 不安になればなるほど、敏感になり、場の「空気」を探り、従おうと思うようになるのです。

ああ、私のことが書いてある…と思わされた部分。
痛くて面白くてためになった一冊。