モンキーターン 1〜14

最近、ラーメン屋で読み続けてる。おかげでこの一週間の夕食はラーメンばかり。

帯をギュッとね!」を読んだときも思ったけど、この人の作品ってストレートでシンプルでいい。
テーマはひたすら「競艇!」「柔道!」。
もちろんそこに若者の成長過程ってのは自然と組み込まれてくるけど、でもあくまでその競技のおもしろさが前面に、メインに据えられてる。
競艇に関係しないストーリーって殆どなかったように思うけど、それで読者を退屈させないってのは素晴らしい技量だ。
今まで競艇に1mmも興味なかった私でも、ちょっと観戦してみようかって気持ちにさせられる。


それにしても、出てくる登場人物みんないい人だなあ。
確かに、時々心理戦がしかけられることもあるけど、皆競艇に真摯に取り組んで、頭が良くて、人に優しい。どこまでもさわやか。
実際の現場で、そんなわけはないとは思うけど…。
負の部分を(おそらく意識的に)排除しても、イヤミにならないあたりも好き。


そういえば、前の彼が「帯ギュ!」好きだったなあ…。
彼も自分の目標に向かって一直線の人だった。
友人には「彼はあなたに(「タッチ」の)南ちゃんになることを求めてる」って言われたことがある。
やりたいことに邁進する自分を、暖かく、姉のように見守ってくれる。そんな存在を求めていると。


でも今思うと、彼の理想は南ちゃんというよりも河合克敏作品に出てくるヒロインたちのような存在ではなかったか。


モンキーターン」において、ヒロイン生方澄は、完全に「ワキ役」だと思う。
(まだ途中までしか読んでないので何とも言えないけど)
出番自体も多くないし、何より主人公波多野憲二の視線は完全に競艇のみに向けられている。
競技に向ける情熱は同じでも、「タッチ」上杉達也にとっての朝倉南の位置づけと、「モンキーターン」波多野憲二にとっての生方澄のそれでは、その重要度が全く違うように見える。「幼馴染の女の子」って設定まで一緒なのに。


前彼にとっての理想の彼女は、結局、生方澄や「帯ギュ!」ヒロインだったのではないか。
自分が仕事に熱中しているときは思い出しもしないような存在。
それでも、そんな自分を素直に尊敬して応援してくれるような存在。
短い休息時間にはいつも傍にいてくれて、気を使わなくても良くて、安らげる存在。


…なんか悪く書きすぎたな。
波多野憲二が、女性を人生の添え物ぐらいに思うような人物とは思えない。
おそらく、彼女に何か大事があれば、仕事をほおってでも駆けつけるぐらいの誠実で純粋な若者だ。競艇漫画作品としての「モンキーターン」では、あえてそういうストーリーを描かないだけで。


でも、何となく前彼の当時の本音は、「モンキーターン」で描かれるような面だけで生きたい、そんな風だったように思える。


少年漫画好きだった彼と、おそらく少女漫画的な世界観で生きてる私。
二人とも若すぎて、未熟で、別れは決定的だったよなあ。