第35回「さらば壬生村」

まずは、『新選組!』ブログ『ヘイ!ジョニー』(byけろこさん)の感想がすてき。


そうそう、あの地震のテロップ。関東在住の自分には正直うっとおしかったけど、現地の人にとっては、それこそドラマどころの話じゃないわけで。あれほど『新選組!』(そして山南さん)を愛していながらも、わきまえるべきところはしっかりわきまえている、けろこさんのバランス感覚が素晴らしいと思いました。大好きです。


それでは本編。やっぱり、前回、前々回と比べると地味な回。今までを思い返し、これからに思いを馳せる、転回点になる回だから、落ち着いてしまうのは仕方がないと思う。物足りないと感じた人も多かったようだけど、今回は「芹沢鴨の死」「山南さんの死」というヤマを越えて、いわば第3部の始まりの回。これでよかったのではないかと思う。


というわけでオープニング、ついに来た。「山南敬助堺雅人」の文字が現れない日が…。覚悟していたけど、せつない…。


今回大きな事件というようなものはなかったけど、その分、いろいろな人のいろいろな心情・行動が描写されていて、興味深かった。

  • 松原忠司:自分が斬った長州藩士に頼まれ、彼の新婚の妻に金を届けに行く。何ていう役回り…。私だったらどうしても届けられずに悶々とするか、誰か他の人に託すかしちゃうと思うけど、実直な彼は自ら届けに行ったのみならず、自分自身が彼を斬ったことを彼の妻に告白する。妻のお初さんも見事な人だったけど、それがまた余計に切ない…。今回のエピソード、今後につながっていくものだと思うんだけど、一体どうなってしまうのか。松原さん、いい人なのに…。
  • 伊東甲子太郎:相変わらず耽美ー。さっそく西本願寺のお坊さんたちを懐柔しにかかります。この人ほんとに声がいいなあ。
  • 周平くん&源さん:源さんたら前回で、演技に目覚めてしまったのかしら?そうそう、周平くんみたいに頭が良くて、周りが見えちゃうが故に自信が持てないタイプの人には、ただ励ますだけじゃダメなのよね。ああいう具体的なエピソードで、論理的に自信を持たせなくては。源さんの技あり一本。それにしても源さん、その手腕を山南さんにも発揮してくれれば…(涙)
  • 総司&ひでちゃん:切ないね。切ない…。でも、自分から別れを切り出しながら、総司に同意されて思わず本音が出てしまうひでちゃんでよかった。総司も最後に、その想いを受け入れてくれてよかった。最後まですれ違ったままで終わらなくてよかった。想いを遂げられないことと、その想い自体をなかったことにしてしまうのは全く違う。例え本意ではない結末になるとしても、本当の気持ちを精一杯伝え合うのは意味のあることだし、今後の二人の糧になるはずだと思う。
  • 土方歳三:今回は優しいトシの顔でした。その優しさ、もう少し素直に発揮すればいいのに…。
  • 局長&永倉新八&サノの恋愛話:どこまでもまっすぐな新八さん。しかしお幸のセリフ「山南さんが皆さんの心に火をつけたのかもしれませんね」に微妙にムカついたのは私だけ??山南さんの死をそんなふうにまとめるなー!と。まあセリフ書いたのは三谷さんなので本当はお幸さんの責任じゃないわけですが。サノ&おまさちゃんはまだ恋仲にはなってないのですね。早く素直になればいいのに、おまさちゃん。
  • そして斉藤一:「できる…!」はネタ?それとも伏線??いずれにしてもおいしいキャラだなあ、この人は。


今回、新選組内部では個々の隊士の個人的な出来事を描写していたのに対して、坂本竜馬はついに薩長同盟の実現に向けて動き出します。「薩摩を動かすには、薩摩が長州と喜んで手を結ぶような条件を示してやればいい」と理路整然と政治を語る竜馬と、お幸を隊士にお披露目するとかしないとか、お幸の生き別れの妹を探すとか探さないとかで右往左往している近藤局長。この時点で、正直、勝負は決まってるよなあと思った。基本的に人が良くて、真面目で、熱い新選組。でもそれだけじゃ国は動かせないのだ。彼らの末路を思うと、胸が痛む。