第46回「東へ」

今回は何よりも藤原竜也にやられた。新選組が江戸に引き上げるシーン。病身の総司は荷車に乗せられて運ばれている。京の人から冷ややかな視線で見送られる中、男装のひでちゃん、秀次郎が登場。総司に励ましの声をかける。一度は目をそらす総司。ひでの目前を通り過ぎてゆく荷車。傍らのお孝に「誰?」と聞かれ、総司は「古い友人だ」と答える。・・・で!その後!身を起こし、後方のひでを振り返る総司の視線が・・・!!もうなんと言うか、哀しくて、切なげで、寂しげで・・・ああもうボキャブラリー貧困!うまく表現できないけれど、とにかくものすごい切ない、それでいて色っぽい瞳だった。何て目で見るんだ総司ー!あんな目で見られちゃったら、とてもじゃないけど恋心抑えられなくなっちゃうじゃないの!藤原竜也の底力を思い知る。この人絶対モテるはずだわ・・・。


だけど、その総司の瞳を受け止めるひでちゃんもすごかった。笑ったよこの人は!微笑んで、総司を見送り通したよ!


すっごいなあ・・・とだけ思って、ひでがわざわざ男装していた意味なんて全く考えなかったニブい私ですが、baddreamfancydresserさんの感想を読んで得心。ああそうか、あの別れの日の約束があったから、「ひで」は見送りに行くわけにはいかなかったのか。だから「秀次郎」として行ったんだ。「秀次郎」なら、泣くわけにはいかない。男同士、友人として、爽やかに笑って総司を励ましたんだ。なんて強くて、優しくて、悲しい…。


このドラマ、本当に女性が強くて優しい。ひでしかり、つねしかり、明里しかり・・・。どうしたって置いていかれる側になってしまうというのに、いさぎよく、腹を決めて、男達を受け止めている。身を切られるような切なさに耐えて。「そういう時代だった」ということもあるのだろうし、彼女達の忍耐強さを美化しすぎるのも危険だろう。だけどここに、この大河「新選組!」が支持されている理由の一つがあるような気がした。よくあるドラマの「かわいくてちょっと抜けてて、仕事でミスしたり上司に叱責されて凹んだりもして、でもそれなりに頑張ってて、隣にいるA君が気になるけど素直になれなくて、心ウラハラなこと言っちゃってケンカしたりして、ちょうどちょっかい出してきたB君にフラフラよってったりしちゃって、でもやっぱり自分が求めてるのはA君と気づいて以下略」みたいな女性像にはもううんざりなのだ。少なくとも私は。


その他。

  • 「ハタノアト」で佐々木様がいきなり被弾!てっきり絶命かと思いきや、鉄の精神力で大阪城まで辿り着き、息も絶え絶えに近藤に今後を託す。死の間際の佐々木様、熱演だったー。本当に死んでしまいそうなほどに。合掌。
  • そして山崎も・・・。斬られた痛みよりも「監察なのに顔を斬られた」ことを嘆き、今まで言ったことのないような愚痴(「自分は京生まれだから江戸行きは不安だ・・・」)をこぼし、そして入隊以来初めて頼まれごとを断って、一人静かに死んでいく・・・。本人があれほど仕事一筋に生き、働きぶりも隊内屈指だったにも関わらず、この寂しい死。先週の源さんの華々しさ(というと語弊があるけど)と対極。だって何たって、山崎絶命の前のシーンは、チョビヒゲ草なぎ剛と、土方の田中邦衛ですよ!いや私は草なぎ大好きだし、邦衛も上手かったですけど・・・あんまりかわいそうだよ山崎。でもきっと皆、山崎を失ったことをこれから段々痛感することになるんだと思う。思わず「おい山崎、アレ頼む」何て言ってしまってから、返事が聞こえないことにとまどったりね。そんなシーンは描写されないにしても。
  • 野田秀樹再登場!うわーなんて食えない人だろう。以前どの役者さんだったか、「役者としての野田さんは演出としての野田さんが言ってることを全部無視してる」みたいなことを言っていた気がするけど、さもありなん。ものすごい無手勝流なんだけど魅力的。彼にあんなふうに叱責されたら、そりゃカマキリ将軍慶喜の目もちょっとつぶらな仔犬みたいになっちゃうはずです。
  • しかし、勝海舟が最後に言ってのけた新選組批判の辛らつなことと言ったら・・・。ここまで新選組、および近藤勇をキレイに描いてきただけに、このストレートな評価の言葉はズシッと来た。
  • お登勢さん、最後までかっこよかった。戸田恵子さんが、またこういう役にほんとにハマる。それとかっこいいつながりで、オダギリジョーの殺陣は見せますね。